2022年上半期に読んで面白かった本5選

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あっという間に2022年も前半が過ぎ去ってしましました。

今年は「本をたくさん読もう」という目標を立てたので、せっかくなので読んで面白かった本をまとめて紹介します。

目次

デジタルシルクロード 情報通信の地政学

最近はロシア情勢の影響もあり、地政学に関する本を書店でもよく目にするように。

かつては地理的な要因こそが国際政治の重要な因子でしたが、近年無視できないのが情報。本書はデジタル・情報インフラに着目した、新しい地政学についての本です。

中国といえばデジタル技術面の発展が著しく、その脅威を語る報道も多いですが、これは近年ぽっと成長したわけではなく、50年もの長いスパンでデジタル技術に注力してきた成果なのだとか。

中国の掲げる「一帯一路構想」とは何か、追従する周辺国の思惑はどういうものなのか。その中核となる海底ケーブルや衛星通信といった情報インフラの地政学的な位置づけについて論じられています。

奇書の世界史

元々ニコニコ動画のゆっくり解説として公開されていた動画からの書籍化。

世界で発行された「奇書」と呼ばれる書物(特に、出版当時と現在とで評価が反転しているもの)についてオムニバス形式で解説されています。

ポイントは、当時の社会情勢や出版に至るまでの経緯が詳細に語られている点。歴史的な背景を垣間見ることができ、単に「おもしろい、変な本」にとどまらない読後感があります。

個人的に特に面白かったのが、サルマナザール著「台湾史」の項。

当時は未知の土地であった台湾について、台湾人を名乗った白人ペテン師が出版した架空の歴史書です。もちろん中身はまったくの出鱈目なのですが、架空の台湾文字とアルファベットの対応表などが作られており、非常に凝った嘘が積み重ねられていました。

最終的には緯度と日照時間の関係などの科学的な矛盾をニュートン、ハレーといった大科学者に問い詰められてペテンを白状した、という結末を含め、非常にドラマチックな内容です。

続刊の「奇書の世界史2」も刊行されており、こちらも非常に面白かったです。

データ可視化の人類史

著:マイケル・フレンドリー, 著:ハワード・ウェイナー, 翻訳:飯嶋貴子
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数字や表のままでは見づらいデータを、わかりやすいグラフィックにして理解を助ける” ことは、今やプレゼンなどで当たり前に行われています。

「データ可視化の人類史」は、そんな棒グラフやヒストグラムといったデータを可視化する手法がどのように生まれ、発展していったかを辿った本です。

普段の仕事でデータを取り扱うことが多いのもあり、非常に楽しめました。

統計学者としても有名なナイチンゲールや、ロンドンのコレラ感染発生地を地図上に表現したジョン・スノーの話など、どれも興味深かったですが、私が特に印象に残っているのは「グラフ手法の父」ことウィリアム・プレイフェア

プレイフェアは18世紀の人ですが、近代的なグラフ手法(棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフ…)を発案した人物です。ラベルの付け方や色分け、タイトル位置など、現代で目にするグラフの形式はほぼプレイフェアの発明と言っても過言ではありません。

私のようなデータを扱う人間は、プレイフェアに足を向けて寝られないなぁ、と思います。

ぜひ本書を読んで、データ表現の歴史に思いを馳せるとともに、世にはびこる「リテラシーが18世紀未満なひどいグラフ」が無くなることを祈りましょう。

昆虫食スタディーズ

食糧供給の問題から注目の集まっている「昆虫食」についてまとめられた一冊です。

昆虫食についての書籍はいくつか読んだことがあるのですが、1冊だけ選ぶとしたらこの本をお勧めする、というくらい網羅的でフラットな視点の面白い本でした。

昆虫食といえば主に社会問題とともに語られることが多く、社会的価値や経済効果についての視点が多いのですが、本書は昆虫を食料品として供給する上での全般的な内容に触れられているのが特徴です。

一例)

  • 昆虫種ごとの栄養バランス
  • 飼育環境(必要なスペースや温度管理)
  • 生産過程での環境負荷
  • 昆虫ならではの注意点
  • 食品安全上の管理
  • 動物福祉の観点が適用されるか

昆虫を食べることに抵抗感を覚える人は多いですが、福沢諭吉の「肉食の説」を引用して ”かつての日本で忌避されていた肉食も今では一般化しているのだから、今後の昆虫食もそうなっていくだろう” という主張には納得させられます。

古くてあたらしい仕事

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個人出版社・夏葉社を営む著者のエッセイ兼、「編集者」の仕事について書かれた本

もともと小説家を志望していただけあって文章が上手く、言葉のひとつひとつがすとんと落ちてきます。

著者である島田さんは、仲の良かった従兄弟との死別をきっかけに出版の世界に足を踏み出しました。どうやって出版社を立ち上げて、どのような想いで本を作る仕事を続けているか。本書で綴られている誠実に本づくりと向き合う姿は、まるで祈りのようにも感じられます。

詩集「さよならのあとで」刊行のあと、室戸の海で従兄弟の遺品を焼くシーンがとても印象的でした。

また、注目したいのが本書の装丁

ハードカバーのしっかりした構造で、200ページを越える本なのに非常に軽いことに驚きます。レトロなビジュアルに、島田さんのこだわりが詰まった一冊です。

この本をきっかけに群馬県高崎市にある個人書店「REBEL BOOKS」さんを訪れ、夏葉社の「レンブラントの帽子」を購入しました。この話もいつか書きたいです。

読んだ本のデータ

最後に、この半年で読んだ本についてのデータを公開しておきます。

記録をつけ始めたのは4月から、1-3月は諸般の事情であまり本を読めていないので、実質第2四半期で読んだ本をまとめています。

読み終わったもののみを登録しているので、積読状態ものや途中で読むのをやめた本は含んでいません。積読状態の本も多いですが、大体月に5冊前後読了するペースです。

内訳は図書館で借りた本が大多数。
借りるのと同じくらい本を買ってはいるので、「返却期限があると読み切れる」という点が大きいように思います。何事も終わらせるには締切が大事ですね。

それでは。

この記事で紹介した本に、何か琴線に触れるものがあれば幸いです。

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