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2022年6月17日、自作キーボードを愛する人々によるオンラインイベント「キーボード博覧会」が開催されました。
オリジナルのキーボード設計から配列、システムまで、幅広い内容のLT(ライトニングトーク)が行われ、本当に深くて楽しいイベントでした。
今回はキーボード博覧会のレポートをお送りします。
自作・既製品問わず、好きなキーボードや関連パーツ・アイテムなどについて語り合うイベントです。
VRプラットフォーム「Cluster」上で開催され、ひとり5分のLTと座談会が行われました。
キーボード博覧会|メタバースプラットフォーム cluster(クラスター)
LT発表者は以下の9名です。
参加者は多い時で300人を超えており大盛況でした。
ざっと会場を見回したところ、デフォルトアバター(おそらくキーボード界隈のcluster初心者勢)が8割強で、普段から自アバターで活動されている方は少数派な印象です。
VRプラットフォームの中でもClusterはWin/Mac両対応、VR機器はもちろんスマートフォンにも対応しており、デバイスを選ばず参加ができます。普段VRコンテンツに触らない方でも気軽に参加できるのがいいですね。
なお、私は出先からスマホ参加したら爆熱で2回ほど落ちました。
会は主催者の銀鮭さん(@sirojake)の概論からスタート。
自作キーボードとは、部品のはんだ付けやソフトウェアの書き込みなど、何かしらの電子工作を要するキーボード。キットを購入して組み立てたり、自分で基盤から設計したりと入手方法は人によってさまざまです。
多くの場合、”市販品が合わない” ”不要なキーを削りたい”など、既存のキーボードへの不満から自作の世界へ足を踏み入れていきます。
自作キーボードはどういうところをカスタマイズできるのか。自作の魅力と無限の可能性について紹介するLTでした。
続いてはとみねさん(@htomine)。
受注生産されていた「Saturn60」の組み立てと魅力紹介。
いわゆるビルドログについてのLTです。
Saturn60はレトロスタイルの美しいキーボード。
スチール製のケースにはハンドルが付いていて、ロマンたっぷりのデザインです。
とみねさんの語る愛と熱量は凄まじく、グループバイ(最小人数設定のある受注生産)・組み立て・キースイッチのルブ(解体&潤滑)……と、初心者からでもディープな趣味の世界に足を踏み出せるのだと示してくれました。
プレゼンターのTomisukeさん(@_Tomisuke)はなんと現役の高校生!
自分の考える最強のタイピング環境を求めて、独自の論理配列を設計してしまった、その熱意たるや。
QWER以外の配列にはDvorakやEukalineなどがありますが、ーーさんが開発したのはさらに違う配列。のちに「tomisuke配列」と名付けられました。
私は1週間ほどEukaline配列を試して即挫折した身なので、配列を自分で設計して実用できるレベルまで習熟したことに脱帽です。
Tomisukeさんさんが愛用しているのは「Moonlander」というエルゴノミクスキーボード。充実した親指キー、リストレストがありつつも、折りたたんでコンパクトに携帯できる万能機です。
続いてはすらさん(@SLAVR00)から骨太な技術の話。
通常キーボードの設計は大変で、形状も制限を受けてしまうところを、この技術を使えばデザインの制約なしに簡単にキーボードを作ることが可能になるとのこと。
詳細な内容については不勉強で付いていけなかったのですが、究極の話、LEDボードのようにスイッチを指すだけでキーボードが自作できるようなイメージだそうです。
キーあたりの製造コストも抑えられ、今後の発展が非常に楽しみな技術です。
プレゼンターはsatromiさん(@satromi)さん。
TRONキーボードに情熱をかけるお方です。スライドの構成が非常に凝っていて、TRON愛がバシバシに伝わってきます。
TRONとはかつて開発されていた国産のOS。
残念ことにデスクトップOSとしては諸般の事情から消えてしまいましたが、その特徴的なキーボードは今でも人々を惹きつけてやみません。
今回のLTでは、すらさんがこれまでに設計した分割式TRONキーボード、日本人の手に合わせた 16mmピッチバージョンに加え、究極の「静電容量無接点方式+左右分割+TRON」キーボードについて語られました。
すらさんが設計したTRONキーボードのキットはBOOTHから購入ができます。
続いてのLTはYMG Worksさん(@WeeklyDx)からオリジナルキーボードの設計のお話。
はんだ付けは学生時代以来、というところから、半年で自作キーボード設計の沼まで駆け抜けていったそうです。
Ergo系キーボードでEndgameを目指し、左右分割60%カラムスタッガード、親指キーの充実したキーボードを作られています。
詳細な設計はnote記事にまとめられています。
「Ergo The End」基板設計に手を出した🔰がキーボードを自作した話_設計編|YMG WORKS|note
情報密度が高く、必見です。
続いては魔王さん(@swan_match)。
LEDキラキラの格好いいキーボードを作られている方です。
今回紹介されていた「Silver Bullet」は、専用のタッチパッドとパームレストを搭載した新作キーボード。アルミ削り出しのボディ・保護プレート・タッチパッド・パームレストの全てが光り輝きます。
トラックパッドの開発に苦心しており、ファームウェア作成パートナー募集中とのことなので、「我こそは!」いう方はぜひコンタクトを取ってみてはいかがでしょうか。
トリの発表はサリチル酸さん(@Salicylic_acid3)。
ブログ「自作キーボード温泉街の歩き方」、Discord「自キ温泉街案内所」を運営されている自作キーボード界隈の第一人者です。
LTの内容は心地よい打鍵音(この場合は低く落ち着いたコトコト音を指す、とのこと)を追い求めて「そもそも音のメカニズムとは?」というところから考察した話。
スイッチプレートを題材に、望ましい材質や設計について解説されていました。
打鍵音ひとつとっても無限に掘り下げられる。自作キーボードは深い世界です。
最後は4名のパネリストが登壇してキーボードの座談会へ。
お題に沿ってトークが進行します。
・銀鮭さん(@sirojake)
・とみねさん(@htomine)
・サリチル酸さん(@Salicylic_acid3)
・ぜろけーさん(@zk_phi)
どのお話も非常に興味深かったのですが、以下、印象に残った点を抜粋して記載します。
■心が折れた時は一旦寝かせるといい
うまくいかない時は嫌になる前に少し距離を置きましょう。
初心者の頃はLEDで心折れがち、というのは皆さんの共通認識のようです(熱に弱く壊れやすい、小さい)。
■逆作用ピンセット、コテ先クリーナー、スマートハンダゴテはあると便利
スマートハンダゴテはデジタル制御ができるコンパクトなハンダごて。
USB給電で自動スリープ/解除機能などもあり便利そうです。
→サリチル酸さんのレビュー記事
■アルチザンキーキャップのガチャガチャ
7月リリースのカプセルトイに「キーキャップに擬態するケーキ」が登場するようです。
まさかキーキャップがガチャガチャに登場するとは…!メカニカルキーボードが一般的になったためでしょうか。可愛いのでキーボードに置いて愛でたいですね。
→キーキャップに擬態するケーキ
■女性人口を増やしたい
まだまだ男性の多い自作キーボード界隈。女性層への間口を広げるにはどうすればいいんでしょうね。
個人的にはイラスト用途のマクロパッドが需要も高く入門にいいのでは?と思ったり。「KeyFuda」や「attack25」あたり左手デバイスとして受けそうです。
個人的に一番印象に残っているのが、座談会の途中で飛び出した
「いつまでキーボード使って仕事しなきゃなんないの!ロボットが全部やってくれるって言ったじゃん!」
というサリチル酸さんの言葉。
趣味というものを ”手段が目的にすり替わったもの” と定義するならば、この言葉には趣味人としてこの上ない愛がこもっているように思いました。
あくまで入力手段であるキーボードというデバイスに情熱を注ぎ、ハックする。個々人のこだわりを存分に反映させた無二の愛機を作り出す。
そこに生まれる熱量に揺さぶられ、キーボード博覧会の3時間はあっという間に過ぎていきました。
基盤設計からキー配列、プレート材質の話まで、さまざまなLTが飛び出したキーボード博覧会。
イベントの最後にはオフラインでのキーボードミートアップイベント「キー部1%」の告知が。
キーボードは触ってなんぼという性質上、コロナ禍で長らく開催が見送られていたキーボード系のリアルイベントですが、人数限定で久々に開催されるそうです。
LT、タイピング体験会、ボツ基盤交換会など盛りだくさんのイベントです。
現地参加枠50席は早々に満席になってしまいましたが、Daihukuさん@Daihuku0015 )の YouTubeチャンネル でライブ配信も予定されています。
ますます盛り上がる自作キーボード界隈、今後の発展が楽しみですね!
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