自転車用潤滑剤でキースイッチを雑にルブする

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自転車用潤滑剤でキースイッチを雑にルブする

自作キーボードにも慣れ、キースイッチの感触をもっと良くしたいな、と思うようになってきました。

いわゆる高級スイッチに踏み出す前に、今あるスイッチをMODでどのくらい改良できるかを試してみることにします。
まずはキースイッチのルブから。

普通はデュポン社のオイルを使うのですが、試しに自転車用のチェーンオイルを使ってみたところ、案外使えそうな感触でした。とりあえずルブの感覚を試してみたい、という方には参考になるかと思うで紹介します。

目次

キースイッチの潤滑(ルブ)

キースイッチを分解して、中の動作部を潤滑する「ルブ」。
摩擦を減らし、キーボードの打鍵感を高めるカスタマイズです。

YouTubeの打鍵動画なども、ルブ前後で音を比較しているものが多いですね。薄く潤滑剤を塗るだけでもかなり抵抗感や音が変わるので、スイッチを買ったらまずはルブ、という方も多数です。

よく使われるオイル、Krytox GPL

キースイッチのルブで一般的に使われるのは、デュポン社の高級オイル・Krytox GPLバネにはオイル状のGPL105、軸にはクリーム状のGPL205 G0がよく使われます。

国内での入手性は良くないですが、自作キーボードショップで小分け販売されているものを購入することができます。

市販の多目的オイル

ただ、初めての状態から手を出すには、Krytoxは若干ハードルがあるんですよね。純度・品質の良いオイルの効果が高いのはわかるんですが、合計3000円前後となると、ルブ済の高級スイッチを試すこともできます。

潤滑に手間をかける前提なら、効果を実感できてからの方がいいな……。
ここで、候補に上がるのが市販の潤滑剤です。

Super Lube などの潤滑剤は、デュポン製オイル以外の選択肢としてよく挙げられます。塗りすぎるといわゆる「ヌチャ感」が出てしまうらしいですが、適量ならハウジングの潤滑には悪くないとのこと。

チューブ入りオイルのほか、スプレータイプ( PTFE配合オイル)の利用例もある模様。

なるほど、潤滑剤であれば効果がでるのなら、手元にある潤滑剤を試してみよう。そんな魂胆でチェーンオイルをキースイッチに塗ってみることにしました。

キースイッチに自転車用オイル(チェーンルブ)を試す

ちょうど手元にあった潤滑剤が、WAKO’Sのチェーンルブ。
PTFEが配合されたスプレータイプのオイルです。

MSDSを見る限り、Super Lubeの多目的潤滑スプレーと似た感覚で扱えそうです。WAKOの方が有機溶媒の含量が少ないので、比較的プラ部品に優しそう。

今回はこちらのオイルだけで軸とバネ、ボトムハウジングを潤滑していきます。

使用した道具類

キースイッチのルブに使用した道具
  • ピンセット(曲、細)
  • スイッチオープナー(MX用)
  • ナイロンブラシ
  • チャック袋

最低限の道具にしました。

オイルの塗布には細いネイル用ブラシを使用。
スイッチ関連の細かい作業には、100均やドラッグストアの安いネイル用品が優秀です。

MX型のスイッチオープナーが対応していないKailh型スイッチには、鈍いナイフ状のキューティクルプッシャーが便利でした。良い感じにテーパーがあるので、ハウジングを傷つけずに簡単に開けられます。

スイッチの潤滑作業

チェーンルブを適当な容器に出してみます。

やや白濁したオイル状で、粘度はそこまで高くありません。

チェーンルブを容器に出したところ

出したては有機溶媒(n-ヘプタン)が多く、プラスチックの劣化が心配なのでしばらく放置して揮発させます。ある程度溶媒が飛ぶと、オイルの粘度が少し高くなりました。

スイッチオープナーを使ってスイッチを分解。

4パーツに分かれたら、トップハウジング以外の部分にオイルを塗っていきます。

キースイッチの分解

ボトムハウジングの側面と軸穴、スイッチ接点

キースイッチのルブ(ボトムハウジング)

軸の側面

キースイッチのルブ(ステム)

スプリングはチャック袋に入れて直接スプレーを吹きます。

キースイッチのルブ(スプリング)

軽く振ってオイルが馴染んだら、取り出して軽く溶媒を飛ばしておきます。

組み立て直して完成。

キースイッチの組み立て

チェーンルブ潤滑のスイッチを打鍵してみる

今回ルブを試したのは、以下の2スイッチです。

  • Gateron Pro Silver BOX (リニア/45 g)
  • Kailh Speed Pink (クリッキー/50 g)

(Gateron Silverだけのつもりが、プレルブ済みだったのに気いて急遽比較用のSpeed Pinkをルブしました)

Gateron Pro Silver BOX

接点が浅い、スピードタイプのボックススイッチです。

ルブ済みのスイッチだったからか、打鍵音は大きく変わらないように感じました。

ですが、打鍵のスムーズさは体感できるくらいに増しています。元が軽くてストロークも浅いので、とても滑らかに入力できます。「ヌチャ」っとした嫌な感じもなく、心地よいです。

ハウジングと軸の擦れ感も軽減されましたが、こちらは潤滑後も少し残ってしまっていました。オイルの粘度不足のせいかもしれません。

Kailh Speed Pink

こちらもスピードタイプで、バー機構のクリッキースイッチです。非常に軽くて、小さくカチッ! という音が鳴ります。タクタイル感はかなり薄く、「音が出るリニア」といった性格。

未ルブの状態からの変化は、思った以上にありました。

まず、クリック音が控えめに。高めのクリック音が、コチ、コチ、と落ち着いた音に変わって反響が減りました。ストローク自体も軽くなっています。ハウジングと軸の擦れはやはり若干残りますが、クリッキータイプなのでさほど気になりません。 

特にクリック音の変化が良かったですね。

「Speed Pinkは潤滑でかなり良くなる」と言う話を聞いたことがありましたが、自転車用チェーンルブでもそれが実感できたのが驚きです。

まとめ

今回、自転車用の潤滑剤(WAKO’S チェーンルブ)でキースイッチをルブしてみましたが、思った以上に効果を体感することができました。

3ヶ月ほど様子を見てみましたが、Kailh Speed Pinkの方はオイルが揮発することもなく、ルブの効果が持続しているようです。(Gateron Silver BOX の方は差がわかりませんでした)

若干残るハウジングの擦れ感に、やや粘度不足を感じはしますが、未潤滑の状態よりは明らかに打鍵感が向上しており良い感じです。

自己責任にはなってしまいますが、「とりあえず手元の道具で潤滑を試してみたい」場合には自転車用チェーンオイルも選択肢の一つになるんじゃないでしょうか。

興味があれば、ぜひ試してみてください。

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